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2018年10月16日

ベランダやバルコニーの排水口(ドレン)の口径の選び方について

排水口(ドレン)の口径を判断する基準とは?

屋上やベランダ、バルコニーにおいて、「雨を排水するドレンの口径についての法規や基準みたいなものはあるのでしょうか?」

「ドレンは何㎡につき何個必要みたいな決まりはありませんか?」

といった質問をよくいただきます。

 

今回は、ベランダやバルコニーの排水口(ドレン)の口径の選び方についてご紹介いたします。

 

まず質問の答えとして、ドレンの口径について「何mmの口径以上を使用すること」といった法規や「ベランダ1ヶ所ごとに何個の設置が義務」といったものはございません。

しかし、このベランダにはこれぐらいの口径の排水口(ドレン)が必要というのは算出できます。その口径を算出する基準は、屋上・ベランダの広さ(面積)です。

屋上・ベランダ(バルコニー)の雨を受ける面積により選ぶべきドレンの口径が変わってきます。

 

SHASE-S 206

 

では、どのようにして選ぶべき口径を算出するのか、その基準が記されているのがSHASE-S 206(給排水衛生設備基準)です。これは、(社)空気調和・衛生工学会という水道・ガス・空調などの設備において高い知識を持つ有識者が集まる学会でつくられ、特に206は給排水の設備において最低推奨基準として設計者や施工者のみならず、官公庁も参考にする基準書です。

これに、選ぶべきドレンの口径の算出公式としてワイリー・イートンの公式が記載されていますが、私にはさっぱりわかりませんので、私でもわかる部分のみ抜粋いたします。

 

 

タテ型ドレンと横引きドレンで口径が違います

雨水立て管の管径 

(SHASE-S 206(給排水衛生設備基準より抜粋)

管径(A) 許容最大屋根面積(㎡)
50 67
65 135
75 197
100 425
125 770
150 1250
200 2700

注a)正方形または長方形の雨水立て管は、それに接続される流入管の断面積以上をとり、また、内面の短辺をもって相当管径とし、かつ“長編/短編”の倍率を表の数値に乗じ、その許容最大屋根面積とする。
注b)屋根面積は、すべて水平に投影した面積とする。
注c)許容最大屋根面積は雨量100mm/hを基礎として算出したものである。
したがって、これ以外の雨量に対しては、表の数値に“100/当該地域の最大雨量”を乗じて算出する。

 

 

雨水横管の管径

(SHASE-S 206(給排水衛生設備基準より抜粋)

管径(A) 許容最大屋根面積(㎡)
配管こう配
1/25 1/50 1/75 1/100 1/125 1/150 1/200
65 137 97 79
75 201 141 116 100
100 306 250 216 193 176
125 554 454 392 351 320 278
150 904 738 637 572 552 972
200 1590 1380 1230 1120 972
注a)都市の下水道条例が適用される地域においては、その条例の基準に適合させなければならない。
注b)屋根面積は、すべて水平に投影した面積とする。
注c)許容最大屋根面積は雨量100mm/hを基礎として算出したものである。
したがって、これ以外の雨量に対しては、表の数値に“100/当該地域の最大雨量”を乗じて算出する。なお、流速が0.6 m/s未満、又は1. 5 m/sを超えるものは好ましくないので除外してある。

 

ご覧いただくとわかる通り、排水口がタテ型とヨコ型で許容面積が違ってきます。また、ヨコ型ドレンの場合は、口径だけではなく、ドレン配管の勾配角度で全く違ってきます。

要するに、タテ型ドレンの場合は、50mmの口径のドレンであれば67㎡までの屋根ならO.Kという事です。

ヨコ型ドレンの場合は少し難しく、65mmの口径のドレンを使用しても、その配管の角度が1/79(79cm進んだ時に1cm下がる角度)の時は79㎡までO.K。同じ65mmの口径でも少し角度のきつい1/50(50cm先で1cm下がる角度)の場合は97㎡までO.Kという事です。

上記の表を見ると、意外と許容面積が広く感じられますが、この面積は、ベランダなどの床面積ではなく、雨を受ける面積なので立上り(壁面)部分も面積に算入させなければなりません
(ベランダに雨水が流入する壁面の面積は、面積×1/2を算入)

ですのでベランダに接する壁面が大きい場合はベランダの床面積よりも算入しなければいけない壁面の面積の方が広い場合がありますのでご注意ください。

いずれにしても上記の数値は全く抵抗が無い場合の数値なのでストレーナーやゴミなどによる抵抗を考慮すると実際は許容最大屋根面積の60%くらいで考えるべきと思われます。

 

ゲリラ豪雨対策としてのオーバーフロー管

ただし、上記の表は最大雨量100mm/hで考えられているため気候が変動している現在ではもう少し余裕を持つ必要があると思われます。万が一、排水が間に合わずサッシより高い位置まで雨が貯まってしまうと、サッシや開口部より雨水が溢れ、屋内に侵入してしまいます。その対策として、最近のゲリラ豪雨でも安心できるよう、最後の砦としてサッシより低い位置にオーバーフロー管の設置をお薦めいたします。

 

 

余裕を持った排水計画を!

上記でお話した通り、現代の集中豪雨は過去の平均値があてにならず、予測不能です。

過去のデータ以上に余裕を持つ事が必要です。ドレンの口径は数を増やすことで小さくすることも可能ですし、2ヶ所以上ドレンがあることで1ヶ所が詰まったとしても、もう1ヶ所で排水できる場合もございます。ですので、2ヶ所以上のドレンの設置をお薦めします。

また、いくら余裕を持った排水設備となっていても、ゴミが排水の抵抗となれば、あふれる結果となってしまいます。やはり最後は掃除が健全な状態を保つ秘訣ですので、こまめな掃除を心掛けてください。

 

 

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