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屋根やベランダ(バルコニー)の隠れた雨漏れの理由
雨漏れの原因としては取り上げられないものの、防水屋さんや建築関係者の中では「あ~ これが原因だ」と納得してしまう隠れた原因があるのをご存知ですか?
実はこれ、雨漏りの原因としてトップクラスの割合です。
その原因とは、防水の「納まり」です。
サッシ下の納まり例
以前、「雨漏れしにくい屋根やベランダの形状ってありますか?」とご質問いただいた事がございます。
納まりと形状は非常に強い関係がございますので、本ブログでは納まりについて説明させていただきます。
納まりとは
部材同士の取り付け具合や取り合わせの状態。または総合的な仕上がり具合。合理的で調和がとれた取り合わせになることを、納まりがよいという。
参考:コトバンク
防水工事での納まりとは
建築業界の一般的な納まりを例に挙げると、
「部材同士の取り付け具合や取り合わせの状態」というのは入り隅や出隅・コーナーといった部材が接合される部分が、しっかりと補強され、きれいに仕上がっているかをいいます。
「総合的な仕上がり具合」というのは、全体的にきれいに仕上がっているかをいいます。
「合理的で調和がとれた取り合わせ」というのは、水が上から下に流れる自然の摂理を考慮し、施工の順序がなされているか、例えば、防水施工後にサッシや水切りが取り付けられているかといった防水する以前に雨が入ってこない構造にする事が合理的であり、
防水工事に関わる他業者さんと連携をとり、大工さんから引き継いだ下地を、しっかりと防水施工し、排水設備業者や板金業者へ引き継ぐ事が調和ではないかと考えます。
要するに、自分の事ではなく、相手の事を考え、建物ができたときの使い勝手や、施工のし易い形状や施工の事を「いい納まり」といい、
逆に、自分の事を優先し、工期が難しい工程管理や、複雑で難しい形状を施工する事を「納まりが悪い」というのではないかと思います。
隠れた雨漏りの原因とは
表には出てきませんが、雨漏りの本当の原因の多くは「悪い納まり」の工事です。
なぜ、この理由が出てこないかというと、「悪い納まり」の工事というのは直接的な雨漏れの原因ではなく、直接的な原因というのは、具体的な欠陥の事をいうため表には出てきません。
悪い納まりの工事の例あげると、工期の都合でサッシを取り付けた後に防水施工を行い、その対応策としてサッシ下に後からコーキング処理したとします。確かに一時的には雨漏れすることは無いかもしれませんが、コーキングというのは防水よりも寿命が短い事、そしてサッシ下の処理というのは狭くて仕事のしにくい難しい作業である事を考えると、いつ雨漏れに繋がるか分かりません。
この場合でも雨漏れの原因は、
・サッシ下のコーキングの充填不足
もしくは
・サッシ下のコーキングの寿命による亀裂
といったことが理由となってしまいます。
いかがですか?
「良い納まり」の仕事をしていれば起きなかった雨漏れが、「悪い納まり」の工事のために発生したにも関わらす、雨漏れの原因として出てこない理由です。
このように、「悪い納まり」のために雨漏れの可能性を高くする隠れ雨漏れの理由を幾つか紹介します。
・複雑な形状
複雑な形状はというのは、変則な床の形状や多角的な床の形状の事をいいますが、複雑な形状のベランダは、意匠性は良いかもしれませんが使いにくいベランダになる可能性が高いです。また、施工性で考えても複雑な形状は接合部が多くなり技術的にも難しくなります。難しい施工や補強が必要となる無理な施工は雨漏れの可能性を高くしてしまします。
・打合せ不足
現場監督や大工さん、関連業者さんとの打ち合わせも大切です。事前にドレンの位置やタテ出し・ヨコ出し、オーバーフローの有無などを打ち合わせておく事、それぞれの工期を確認しておく事が必要です。この作業を怠ると、現場で「話が違う」とか「適当な材料が無いからこれで済ませておこう」といった、行き当たりばったりの施工になりかねません。「行き当たりばったり」というのは「悪い納まり」の代表例です。代替え材料で行き当たりばったりの施工で良い仕事ができるはずが無く、雨漏れの可能性が高くなるといえます。
・施工の順番
防水の技術や材料に頼り、建築の順序を変える事は防水へ過度な負担を強いているという事です。建築の順序を守り、下から上に水を防ぐ工事を行う事で、必要の無い複雑な工事が無くなります。
工期の都合でサッシ先に取り付ける・雨風しのぐために壁を先行するといった建築の順序を無視することは、もはや「悪い納まり」ではなく「納めるつもりが無い」といえるでしょう。もちろん、その場しのぎの防水施工しかできず、雨漏れの可能性は高くなります。
※高気密・高断熱・外断熱工法の木造住宅の場合はサッシ取り付け先行工法の場合があります。
いかがでしたか?
「納まり」の大切さをご理解いただけたでしょうか?
私は、防水施工をしていて、この「納まり」の大切さを肌で感じていたため、自宅を建てた際、ベランダは長方形、屋根も切妻屋根にしました。
参照:コトバンク
実はこの「納まり」、国土交通省の公共建築木造工事標準仕様書でもアルミサッシの取合部の処置等について規定されています。
雨漏れから家屋を守るためには防水も必要ですが、雨漏れしそうな箇所を減らす努力も必要です。
「納まり」を重要視することで、雨漏れの削減に繋げていただければと思います。
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